入院付添費について
1「入院付添費」とは?
入院付添費とは、交通事故に遭った被害者の方が入院をし、入院中に近親者等による付添いの必要が認められることを前提として、実際に付添いが行われた場合に賠償の対象となる損害のことを言います。
2 近親者による付添の場合に「入院付添費」の賠償が認められる理由
もっとも、近親者の方が付添を行った場合、被害者の方が付き添ってくれた近親者の方に付添費用を支払うことは少ないかと思います。
このような場合、被害者の方に付添費用分の損害は生じていないようにも思えますが、最高裁判所昭和46年6月29日第3小法廷判決は、「親子、配偶者などの近親者に身体の故障があるときに近親者がその身のまわりの世話をすることは肉親の情誼に出ることが多いことはもとよりであるが、それらの者の提供した労働はこれを金銭的に評価しえないものではなく、ただ、実際には両者の身分関係上その出捐を免れていることが多いだけで、このような場合には肉親たる身分関係に基因する恩恵の効果を加害者にまで及ぼすべきものではな」いと述べ、このようなケースにおいても、被害者の方が付添看護料相当額の損害を被ったものとして、加害者に対して損害賠償請求をすることが出来る可能性があることを認めています。
すなわち、被害者の方が近親者の方から付添看護を受けた場合は、被害者の方は近親者の方に対して当該付添看護分の労働の対価を支払う債務を負っていると評価できるため、被害者の方に付添費用分の損害が生じているということができるのです。
3「入院付添費」の基準
賠償されるべき入院付添費の金額は、被害者の方の受傷の内容や程度、被害者の方の年齢、必要な付添の内容、付き添った日数や時間等の様々な要素を総合的に考慮して決められることになります。
なお、交通事故の案件を扱う場合に参照されることの多い、日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「損害賠償額算定基準上巻(基準編)」には日額6500円、日弁連交通事故相談センター発行の「交通事故損害額算定基準―実務運用と解説―」には日額5500円~7000円と掲載されています(いずれの基準も、個別具体的な事情による増減額を否定するものではありません)。
相手方保険会社が弁護士を立ててきた場合の対応
1 保険会社(共済含む)側弁護士の存在
一般に、保険会社には、複数の顧問弁護士・準顧問弁護士がいます。
そして、必要に応じて、契約者から委任状を取り付けた上で、保険会社社員(担当者)の代わりに、契約者代理人として弁護士を立ててくることがあります。
2 保険会社側弁護士の対応
すべてがそうではありませんが、保険会社側弁護士は、保険会社社員に比べて、強硬な態度・手段をとることが多いです。
具体的には、支払い拒否、打ち切り、裁判外での増額交渉の拒絶などです。
場合によっては、債務不存在確認請求訴訟(調停)を提起してくることもあります。
保険会社側弁護士から示談提示がなされることもありますが、少額の内容であることがほとんどです。
従前に、被害者と保険会社との間で合意が出来ていた事柄であっても、証拠がない・乏しい等と理由をつけて、争ってくることもあります。
一例としてあげられるのが過失割合で、当初は当方1割で合意できていたものが、突然、2~3割の過失がある等と主張されたことがありました。
3 保険会社側弁護士を立てられた場合にどうするか
前述のように強硬な態度・手段をとられることが多いこと、どうしても気圧されてしまいがちなこと、専門的知識・経験とも太刀打ちするのが困難であることから、被害者側としても弁護士を立てることをお勧めします。
弁護士費用特約がなかったり、弁護士費用の自己負担が割に合わなかったりする場合でも、せめて法律相談は受けるべきでしょう。
保険会社側弁護士が立てられたとしても、被害者のとるべき行動は大きく変わるところはありません。
症状固定に至っていなければ、打ち切られたとしても、基本的に治療は継続すべきです。
症状固定に至れば、後遺障害申請をしたり、その結果を踏まえて示談交渉を行ったりします。
保険会社側弁護士が裁判外での交渉を拒絶したり、債務不存在確認訴訟(調停)を行ってきたりした場合は、裁判を通じての解決を図らざるを得ませんが、すべてそうなるわけではありません。
特に被害者側に弁護士が付いている場合は、ある程度高額の示談であっても、裁判で認容される可能性が高いこと、及び、実際に提訴してくる具体的可能性があることを考慮して、応じる場合があります。
交通事故とシートベルト
1 シートベルト着用の法的根拠
言うまでもありませんが、シートベルト着用は法律によって定められた義務です。
具体的には、道路交通法71条の3第1項が自動車運転者の着用義務を規定し、同条第2項は運転者以外の搭乗者の着用義務を規定しています。
ちなみに、第2項は、運転者の義務として、シートベルトを着用しない者を乗車させてはならないと形式で書かれています。
2 シートベルト着用の実質的理由
交通事故は、不意に起きるのが通常です。
自動車は軽自動車であっても総重量は1000kg近くになるところ、これが時速何十kmもの速度でぶつかってくるわけですから、この衝撃が不意に身体に加わった場合は、自力で身体を固定することが出来ず、その衝撃で身体が浮いたり、飛ばされたりすることがあります。
そして、枢要部である頭部等を車内で強打したりすると、頚椎損傷、脳挫傷、急性くも膜下出血等の重傷を負う可能性があります。
また、後部座席の方が前に飛ばされると、前部座席の人に二次被害をもたらす可能性があります。
さらに、自動車の窓ガラスから飛び出すようなことがあった場合は、全身を路面で強打することによって、非常に深刻な事態を引き起こしかねません。
シートベルトを着用していれば、不意の衝撃にも身体を固定することができて、前述の重傷リスクを大幅に削減することが出来ます。
警察庁の10年間(平成22年~令和元年)の統計によれば、シートベルト非着用者の死因の約26%が車外への放出、約67%が車内における衝突であるとのことです。
そのほか正しい姿勢を保つことによって、疲労を軽減させる効果も認められています。
3 シートベルト非着用の損害賠償への影響
シートベルト非着用時の負傷・死亡は、被害者側の過失として評価され、損害賠償額が減額される可能性が大です。
実際に着けていたかいなかったかは、黙っておけばわからないと思われるかもしれませんが、医療機関における診療録や刑事記録上の供述調書にその辺りの情報が書かれていることは珍しくありません。
自らの生命・身体を守る意味でも、損害賠償において無意味な減額をされないためにも、前部座席・後部座席問わず、シートベルトを着用すべきでしょう。
弁護士に頼むと裁判になるか
1 一般的なイメージと現実との相違
ドラマやニュース等で弁護士が出てくる場面の典型が、裁判の場面です。
「異議あり!」と声高に叫んだり、尋問で証人から隠された真実を導き出したりする場面は、見ていて爽快ですし、強く印象に残ります。
その影響かどうかはわかりませんが、法律相談において、頼むと裁判になりますかとしばしば聞かれます。
確かに、裁判は弁護士の主要業務ではありますが、受任する事件がすべて裁判になっているわけではありません。
実際には、話し合い及び示談金の支払いで解決する事件が非常に多いのが実情です。
特に交通事故における損害賠償請求では、私的感覚では、7割近くの事件で示談できています。
交通事故以外でも、裁判にならないまま解決に至る事件は相当数あります。
2 お勧めしないこともある
ある事実や評価について、双方で争いがある場合、裁判で当方の主張を認めてもらうには、それを裏付ける証拠を提出する必要があります。
証拠は何でもいいわけでなく、写真、ビデオ映像、契約書等のように、客観性や社会的信用のあるものが重視されます。
別の言い方をすると、そのような証拠が準備できなければ、当方の主張が認められない可能性が高まるので、弁護士の方から裁判はやめておいた方がいいですよ等と説明することがよくあります。
それ以外でも、事件の特質、当事者の問題、その他個別具体的事情で、裁判をお勧めしないことがあります。
3 弁護士が勝手に裁判をすることはない
弁護士は、当事者の代理人という立場であることから、意思決定、方針選択等の重要事項は必ず当事者と協議し、その了承を得て事件処理を行う必要があります。
裁判になった場合、示談交渉以上に時間や費用を要することになるほか、打ち合わせや尋問手続き等で当事者にも相当な負担をかけることになり得ます。
このようなことからわかるように、非常に重要な判断にあたりますので、弁護士が勝手に行うことはできません。
4 最後に
以上のとおり、弁護士に頼むと必ず裁判になるわけではないことがお分かりいただけたかと思います。
ただ、交渉で埒が明かない場合に、強制解決手段として提訴できるということは、相手方へのプレッシャーとなり、よりよい交渉条件を引き出す源泉となりますので、最初から裁判の選択を捨てるというのは、あまりお勧めできません。
示談案を弁護士に見せた方がいい理由
1 示談案とは
交通事故で受傷した被害者が、治療を終えるとき、または、後遺障害の結果がでたとき、保険会社(共済含む、以下同じ)から、支払い内容・額の明細と、最終の支払額(示談金ともいう)が書かれた書面が送られてきます。
その書面の名称は保険会社によって様々ですが、ここでは「示談案」と統一して呼ぶことにします。
2 よくある保険会社担当者の動き
⑴ 担当者の中には、示談案を送るとともに、次のようなことを告げて、早期の示談に誘導してくる者もいます。
①今すぐ示談してもらえるなら、プラス〇万円追加します
②弁護士に相談しても大して変わりませんよ
③私と●さんの仲じゃないですか
⑵ ①については、プラス〇万円でも、弁護士が介入した場合に比べれば安くつくと考えている可能性が高いと言えます。
②については、本音は「弁護士に相談されると、提示が低いことがばれてしまう」ということだと考えられます。
③については、情に訴える古典的な手法ですが、金銭面で適正な評価をしていなければ、口先だけだと言えるでしょう。
いずれにしても、これらの誘導に乗るべきではありません。
3 示談案で特に注意すべきポイント
⑴ 休業損害については、特に理由なく、事故日から2~3カ月までの期間に区切られていることがあります。
主婦の方については、休業損害がそもそも計上されていないこともあります。
⑵ 傷害慰謝料については、弁護士や裁判所が使用する算定基準より、低く抑えられていることが頻繁にあります。
⑶ 後遺障害に基づく逸失利益や慰謝料については、ほとんどの場合において、弁護士や裁判所が使用する算定基準より、かなり低く抑えられています。
4 示談案は弁護士に見てもらいましょう
以上のように、示談案は低めに抑えられていて、弁護士の介入によって増額が見込める場合が多いので、すぐに交通事故事件に長けた弁護士に見てもらうべきです。
中には、増額がわずかであるか、見込めない場合もありますが、専門家のチェックを通すことによって、示談に応じる際の納得感は高まると思われます。
交通事故電話相談について
1 電話相談のご案内
弁護士法人心では,複数の事件分野につき,電話相談を実施しています。
交通事故もその一つで,被害者からのご相談については,原則,無料とさせていただいております。
以前からも相当数のご利用をいただいておりましたが,疫病の流行の影響もあってか,あえて電話相談を希望するという方も増えているように思われます。
2 電話相談のメリット
⑴ いちいち当法人の事務所までお越しいただく必要がないので,移動の時間と労を省くことが出来ます。
このことを利用して,担当弁護士の都合が合う場合が前提となりますが,仕事の休憩時間や合間を利用して相談を行うこともできます。
事務所から遠方の方であっても,お気軽に当法人をご利用いただくことが可能となります。
⑵ 他人と出会うことによる,疫病感染のリスクを負わないことも利点です。
⑶ 相談者から折り返しのご連絡をいただいた場合は,こちらから再度の架け直しの要否をお尋ねするようにしておりますので,長時間通話による電話料金をご心配いただくこともありません。
3 電話相談のデメリット
⑴ 事件の内容によっては,書類を見ながら相談を行うのが望ましいものがありますが,電話相談では書類を見ることはできません。
ただ,あらかじめどちらかが書類をもう一方に送付することによって,ある程度カバーすることはできます。
⑵ 交通事故の場合,事故状況を正確に把握するため,関係者・関係車両の細かな動きを確認する必要が生じることがあります。
対面であれば,その場において,身振り手振りや,図を描くなどして,情報を補うことが可能です。
他方,電話であればすべて言葉で説明しなければならず,これはなかなか大変です。
もっとも,状況図等を書いて,メールや郵送でやり取りすること等で,ある程度カバーすることはできます。
4 おわりに
このように,電話相談にはメリット・デメリットいずれもありますが,電話相談自体にご不満をのべられたことはなく,広くご利用いただいております。
状況に応じて来所相談に切り替えることもできますので,ぜひご活用ください。
評価損の認定要件(考慮要素)
1 評価損て何?
交通事故で破損した自動車は,十分な修理がなされた後も,「事故車」と扱われ,そうでない自動車に比べて評価額が低くなることが多々あります。
このような評価額の低下による損害を,評価損といいます。
格落ちと呼称されることもあります。
2 評価損の認定要件(考慮要素)
⑴ これがあれば確実に認定されるというものはなく,各種事情を総合考慮して,評価損の有無・額を認定するのが一般的です。
⑵ 主な考慮要素は,次のとおりです。
ア 修復箇所
車両の骨格部位(フレーム,ピラー,ルーフ,フロア等)を修復している場合,評価損が認定されやすくなります。
なお,自動車業における表示に関する公正競争規約及び同施行規則によれば,前記修復歴については,中古車販売業者は外部から見やすい場所に表示しなければならないとされています。
イ 車種
新車価格の高い高級車ほど,評価損が認定されやすくなります。
ウ 初度登録からの経過年数
初度登録からの経過年数が短いほど,評価損が認定されやすくなります。
逆に年数が長いと認定されなくなったり,損害額が低くなったりします。
特に,5年を超えてくると,なかなか厳しいように思われます。
エ 走行距離
走行距離が短いほど,評価損が認定されやすくなります。
走行距離が長いと認定されなくなったり,損害額が低くなったりします。
特に,5万kmを超えてくると,厳しくなるように思われます。
3 評価損に関する保険会社(共済含む)の傾向など
⑴ 評価損は可能な限り,認定しないか,低く抑えようする傾向が見受けられます。
⑵ 保険会社がよく使う理由付けは,最近の修理技術は非常に向上しているので,事故前との違いが生じることはない等というものです。
⑶ しかし,部品交換であっても,全塗装しない限り,塗装のわずかな違いは生じるでしょうし,鈑金修理の場合は,金属疲労の蓄積が懸念されます。
なにより,中古車市場における評価の実態を,殊更無視していると言わざるを得ません。
⑷ そのため,評価損については,保険会社の主張を鵜呑みにせず,弁護士に相談することをお勧めします。
無保険車両との交通事故に関するご相談
1 無保険車両の実態
ここでの無保険車両は,任意保険(共済も含む)を付保していない車両を意味します。
交通事故相談をうけていると,しばしば無保険車両にぶつけられ,満足な賠償が受けられないという被害者にお会いします。
任意保険は,法律上強制はされていないので,このような無保険車両が一定数いるのが事実です。
なお,これまでに一度だけですが,自賠責保険すら付けていないという車両との事故をうかがったことがあります(こちらは法律違反です)。
2 無保険車両の運転者の一般的特徴
⑴ ここで述べる一般的特徴は,個人の経験に基づくものであり,すべてに当てはまるとは限らないことには,ご注意ください。
⑵ 無保険車両運転者の資力については,あまり期待できません。
というのも,十分な資力があれば,任意保険を付保しておくのが通例で,資力が乏しいからこそ任意保険をかけていないということが多いからです。
⑶ 前記のように資力が乏しく,支払い余力がないからかもしれませんが,被害者側からの連絡を無視したり,開き直ったりして,逃げに走る傾向があります。
⑷ なかには,代理店等の手違いで更新ができていなかったことが無保険の原因で,資力について特に問題のないこともありますが,そういった場合は稀です。
3 無保険車両との事故における賠償請求の実情
⑴ まずは,書面等で支払いを求め,交渉ができるのであれば,示談解決にむけて尽力します。
⑵ もっとも,前述のように,こちらからの連絡を無視し,交渉すらできないことも珍しくありません。
話が出来ても,開き直られたりして,決裂することもしばしばです。
⑶ 話が出来なかったり,決裂したりした場合は,訴訟等の法的措置をとるほかありません。
ただ,勝訴判決を得られたとしても,それだけで賠償金の回収はできず,相手方が自主的に支払ってこない場合は,強制執行の手続きをとる必要があります。
⑷ 強制執行の手続きの代表的なものとしては,不動産や動産の差押え・競売,給与債権差押え,預貯金債権差押えがあげられます。
しかし,有望な資産を保有しているケースはほとんどなく,勤務先も不明であれば,有効な手立てを講じるのは難しくなります。
⑸ 以上のように,無保険車両運転者への賠償請求は非常に厳しいのが実態ですが,弁護士は,その中で多少なりとも回収できる方策はないかと,思案しております。
無保険車両にぶつけられてお悩みの方は,一度ご相談いただければと思います。
法律相談の際に弁護士が気にしていること
1 はじめに
何度も法律相談を経験し,弁護士がどんなことを考えているのかがちょっと見えてきたという方はごく少数で,法律相談を申し込むのは初めてという方がほとんどです。
本稿では,そのような初めての方向けに,法律相談時に弁護士がどのようなことを重視しているのかを典型的なものに限って述べたいと思います。
2 何が問題・トラブルとなっているのか
⑴ 法律相談に来られるということは,何かしらの問題・トラブルをかかえていることがほとんどです。
そのため,弁護士は,どのような問題・トラブルがあるのかを気にしており,それを相談者に語っていただきたいと考えています。
⑵ あわせて,当該問題が,法律・裁判例等の知識を用いて,究極的には訴訟等の法的措置をもって,解決可能かということも気にしています。
逆に言うと,こういった解決手段が適さない問題であれば,弁護士がお力になるのは難しいです。
⑶ ところで,交通事故相談等では,特にもめてはいないけど相談に来られるというケースもあります。
その場合は,今後の流れやトラブルとなりやすいポイント等を説明することになります。
ちなみに,交通事故とその後の治療では,局面によってアドバイスできる事項が変わってきますので,揉めていない段階でのご相談も大歓迎です。
3 相談者の主張を裏付ける証拠はあるか
⑴ ここでいう証拠とは,書類や物を指します。
証人という言葉があるように,その人自体も証拠となり得ますが,強い証拠とはならないことが多いです。
⑵ 相談者の目的(具体的には「~したい」「~をなくしたい」等)を裏付ける証拠があれば,主張が認められる可能性が高まり,解決に向けた見通しが立てやすくなります。
ご面倒でなければ,ぜひ相談時に証拠をご持参ください(やはり弁護士自身の目で確かめたいので)。
⑶ 実際に,法律事務を受任するとなると,相応の報酬を請求させていただくことになるし,職務上の責任も発生します。
そのため,証拠が乏しい場合は,事件にもよりますが,立証が困難等の理由で法律事務を受任し辛くなることが多いです。
4 問題・トラブルの相手氏名はわかっているか
⑴ 相手方が,弁護士や事務所職員の親族・関係者であったり,事務所の既存の依頼者であったりした場合,利益が相反することになり,職務の公正が保証できなくなります。
つまり,委任契約を締結することは不可能となり,既に締結した委任契約は解除するしかなくなるわけです(弁護士職務基本規程にも明記されている事柄です)。
⑵ このように強力な効果をもたらすことから,弁護士は相手氏名を非常に気にしています。
5 小括
ほかにも,事件の種類ごとに重視される事項は異なりますが,少なくとも本稿で述べたことを準備して法律相談に臨めば,スムーズな進行が図れるはずです。
弁護士への相談は敷居が高いと感じておられる方へ
1 はじめに
弁護士に相談したいのだけれど,敷居が高く感じるので,ためらってしまうという方いらっしゃいませんか?
このように感じることは珍しいことではなく,過去に行われた司法制度改革でも審議事項にあげられています。
以下では,弁護士と依頼者様の敷居を低くするべく,弁護士法人心にて行われている取り組みをご紹介します。
2 特定分野の事件については電話相談が可能です
⑴ 法律事務所に入るのはいささか気が引ける・・・そんな方でも大丈夫です。
弁護士法人心では,特定分野の事件(交通事故被害含む)に関するご相談は,電話で行うことが可能です。
⑵ さらに,委任契約の取り交わしは郵送で行えますし,受任後の連絡・打ち合わせも電話・メールで十分対応可能です。
そのため,事件解決に至るまで,弁護士と依頼者様が一度も顔を合わすことがなかったという事件もあります。
3 特定分野の事件の相談は原則無料です
⑴ すごくお金がかかるのではないか・・・そういった心配は無用です。
弁護士法人心では,特定分野の事件(交通事故被害含む)の相談は,原則無料とさせていただいております。
また,特定分野に該当しなくても,30分無料で相談を実施することがあります。
⑵ 事件が非常に複雑であったり,相談が複数回に及んだりするような場合等は,相談料を求める場合もありますが,あらかじめ有料となる旨を予告させていただきますので,知らないうちに相談料が発生していたというようなことはありません。
4 少額の相談でも承ります
⑴ こんな金額の相談では失礼ではないか・・・そのようなことはありません。
ご相談において,請求金額(示談金額)の高低だけで,相談を断ったり,相談時間を短くしたりすることはありません。
⑵ もちろん,請求金額が少額で,弁護士費用保険・特約の適用も受けられない場合は,費用対効果の観点から受任にそぐわないことがあります。
そのようなことは,受任前にきちんと説明させていただき,その上でどうされるかを決めていただくことが多いです。
交通事故の専門性
1 交通事故の解決には高い専門性が求められる
適切な損害賠償金を得るためには,法律はもちろん,他の分野についても高い専門性が求められます。
まず,交通事故で損害が生じた場合,法律上,加害者に対して賠償請求を行うことが認められています。
請求により賠償金が支払われるには,条文解釈を踏まえて,条文の要件を満たすことを主張・立証しなければならず,法律的素養が求められます。
賠償金を支払う損保会社側は,支払額を抑えるための主張・立証を行うため,それに対抗するためにも深い素養が必要となります。
2 医学的知見
もっとも,法律の専門性だけが高くても,「適切な」賠償金の獲得は困難といえます。
たとえば,交通事故で受傷をした場合であれば,医学的知見が求められます。
受傷後は症状改善に向けて治療に努めることが重要ですが,被害者の方が通院の重要性を必ずしも理解されているとはいえません。
受傷内容に適した治療方法や検査を受けなかったり,通院自体を怠ったりすれば,交通事故と症状との因果関係が否定されるなど不利益な判断がなされることもあります。
また,受傷状況や残存症状に照らせば,後遺障害の等級認定がなされてもおかしくない事案であっても,保険会社の言われるままに従った結果,等級認定がなされなかったという事案もあります。
このような事態を避けるためにも,早期の段階から,弁護士等から,適切なアドバイスを受けておくことは重要であり,弁護士には医学的知見が求められるのです。
3 工学的知見
また,物損事故の場合には,工学的知見が求められます。
過失割合にて事故態様が問題となれば,衝突時の速度や入力方向などについての理解が必要となります。
また,修理額の相当性が問題となれば,車両構造や修理方法などの知識も必要となります。
4 専門性の高い弁護士に相談することが重要
高い専門性を身につけるには,多くの事件で経験を積む中で養われます。
弁護士法人心では,集中的に交通事故案件を取り扱う交通事故チームを作り,日々研鑽を積みながら,「適切な」賠償金獲得に向けて取り組んでいます。
四日市で交通事故に遭われた際には,弁護士法人心にご相談ください。
交通事故の示談交渉の流れ
1 誰が示談交渉を行うのか
物損については,0:100の事故の場合は加害者側保険会社・共済と被害者との交渉,双方に過失が有る事故の場合は双方保険会社・共済同士の交渉となります(無保険・共済の場合除く)。
人損については,受傷者と相手方保険会社・共済との交渉となります。
2 過失割合に関する示談交渉
⑴ 事故態様
過失割合を決める前提として,どのような事故態様だったかが問題となります。
意外かもしれませんが,当事者双方の主張する事故態様が異なることは珍しくありません。
このような場合,ドライブレコーダーの映像があれば,争う余地はなくなるか,少なくなります。
⑵ 過失割合
前記事故態様に基づき,過失割合に関する主張がなされます。
異なる事故態様を前提にすると過失割合も異なるのが通例ですが,同じ事故態様であっても,評価の仕方や感情論等で双方主張の過失割合が分かれることがあります。
3 物的損害に関する示談交渉
⑴ 損害の対象
まず,どんな物が損害を受けたが問題となりますが,交通事故なので,対象となるのは,主に自動車です。
それ以外には,身の回り品(衣服,携帯電話など)や積載物に損害が生じた場合は,これらも対象となります。損害物(通常は自動車)に関する調査が,同時並行で行われるのが一般的です。
⑵ 損害額
前提として,当該損害物が分損(修理可能で,修理費が時価を下回る場合)か全損(修理不可能,または,修理費が時価を上回る場合)かが問題となります。
この点がクリアされると,損害額がいくらかが問題となります。
以上を踏まえて,双方の過失割合を乗じて,双方の賠償責任額が算出されることになります。
4 人的損害に関する示談交渉
人的損害は,事故に基づく負傷や死亡を対象とします。
⑴ 死亡事故の場合
死亡の場合は,死亡した方及びご遺族の慰謝料や,死亡した方の逸失利益をどう評価するかが問題となります。
感情論抜きには語れないほか,非常に高額となることもあって,対立が大きくなることが多々あります。
⑵ 負傷の場合
負傷の場合は,症状改善を待って示談交渉となるのが一般的です。
しかし,治療が長期化した場合は,加害者側保険会社が支払い打ち切りを行うことがあり,そのような場合は適正な治療期間はいつまでかが,重要な問題となります。
また,治療を続けても最終的に症状が改善しない場合は,残った症状について後遺障害としての審査請求を行うことが多いです。
5 まとめ
前記2~4の示談交渉は,通常,同時並行で進められます。
双方間で合意が成立すれば,示談書や免責証書を取り交わし,この内容に基づいて示談金の支払いが行われれば,無事解決となります。
合意が成立しない場合は,訴訟などの法的措置による解決を検討することになります。
交通事故に遭ったら早めに弁護士に相談すると良い理由
1 弁護士に相談するタイミング
交通事故の被害に遭った方から,ご相談のお電話いただいたときに,「こんなタイミングで相談してもよかったんでしょうか?」というご質問をいただくことがあります。
相談のタイミングについていえば,早ければ早いほど良いのではないかと考えます。
これから,交通事故に遭ってから早めに弁護士に相談すると良い理由についてお話します。
2 通院段階からアドバイスを受けられる
まず,早めに弁護士に相談すると,病院などでの通院治療の段階から,交通事故に関するアドバイスを受けることができます。
交通事故で加害者に損害賠償請求を行おうと思うと,その根拠となる証拠が求められますが,適切なタイミングで整形外科等の病院で適切な診察や治療を受けておかないと,そういった証拠が得られず,被害者に不利な展開になる恐れがあります。
たとえば,事故当日に病院に通院して医師に「首が痛いです。」と訴えて,頸椎捻挫の診断を受けていた患者さんが,その翌日,右手に強い痺れがあることに気が付いたけれども,右手の痺れについては医師に伝えないまま1か月経過してしまったという場合には,裁判手続等では右手の痺れの症状は,交通事故で起きたかどうか証拠上判断できないとして,交通事故とは無関係という結論になってしまう可能性が高いです。
このように,通院治療段階で,どのように医師とコミュニケーションをとって治療を受けていくのかによって,症状が実態よりも軽く誤解されてしまう恐れがあります。
こういった事態を避けるためにも,通院段階の早い時点から,弁護士に相談し,適切なアドバイスを得ておくことが重要です。
3 治療費の早期打ち切りに対応できる
また,相手方保険会社は,「症状固定」という考え方を背景に,病院に対する治療費の打ち切りを強引におこなってくることがあります。
早い段階から,弁護士に相談しておけば,できる限り相手の保険会社が治療費を打ち切りづらくなるように話を組み立てていくアドバイスも可能ですし,治療費を打ち切られた後,どのように動くべきかという治療費の打ち切りに対する対応方法もあらかじめ確認しておくことができます。
4 早くから示談交渉で不利にならないように交渉できる
また,示談交渉のなかでは,過失割合や休業補償の計算方法など,いろんな争点がでてきます。
弁護士に相談せずに,被害者個人で相手方保険会社と交渉すると,その内容次第では,かえって,被害者側に不利な情報を相手方保険会社に把握されてしまうなどして,被害者に不利な展開となる恐れもあります。
早くから弁護士と相談しておけば,どのように相手方保険会社との示談交渉を進めていくのか,交渉のタイミングや交渉材料として伝えるべき内容についても打合せをすることができますので,示談交渉で不利にならないように交渉できる可能性が高くなります。
交通事故の過失割合で話し合いがつかない場合の対応方法
1 過失割合とは
交通事故では,当事者間で過失割合が厳しく争われることがあります。
過失割合とは,例えばAさんとBさんの間で交通事故が起きた場合,その交通事故の原因となった不注意がAさんが何%でBさんが何%というように,割合を決めることです。
2 過失割合をなぜ争うのか
過失割合が厳しく争われることとなるのは,過失割合が損害賠償額の計算に大きな影響を与えるからです。
例えば,先ほどのAさんとBさんの交通事故で,Aさんが100万円の損害を被ったとします。
もしも,Aさんの過失割合が0%であれば,AさんはBさんに100万円の賠償を求めることができます。
しかし,Aさんの過失割合が50%であれば,AさんはBさんに半額の50万円しか賠償を請求できないことになってしまいます。
しかも,この場合に,Bさんも交通事故によって100万円の損害を受けていた場合は,AさんはBさんの損害額100万円のうちの50%の50万円を賠償しなければならなくなります。
したがって,損害保険等を考慮しなければ,Aさんの損害額100万円,Bさんの損害額100万円,AさんとBさんの過失割合50%:50%であれば,Aさんの手元には,お金が残らないことになってしまいます。
このように,過失割合は賠償金額の帰趨に大きな影響を与えるため,交通事故では当事者間で,過失割合が厳しく争われることとなります。
3 過失割合の話合いがつかないことが多いのはどのような場合か
過失割合については,交通事故の類型に応じてある程度の基準(別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」)がつくられているため,事故状況等に争いがない場合には,裁判外の話合いで,過失割合の合意が整うことが多いです。
しかし,例えば,交差点内の出会い頭の衝突事故で当事者がお互いに「私は青信号で交差点に入った,相手が赤信号無視だった。」と主張し合うような場合のように,当事者の主張する事実関係が全く異なるような場合には,話し合いでの解決が非常に困難になります。
また,自転車同士の事故や,駐車場内の事故などでは,一般的な過失割合の基準が妥当しないような事故態様も少なくないため,過失割合が話し合いで解決できないケースが多くなります。
4 過失割合が話し合いで解決ができない場合の対応方法
過失割合について,当事者間の話し合いで解決ができない場合には,当事者以外の第三者に間に入ってもらって,過失割合の判断を進めることとなります。
典型的な方法としては,裁判所に裁判を起こして裁判官に過失割合について判断をしてもらうことが挙げられます。
5 裁判での過失割合の判断方法
裁判手続きでは,裁判官が,当事者が主張する事実関係を踏まえて裁判官の自由な心証に基づいて過失割合を決定します。
この時,重要になるのが,①裁判官が事故の態様についてどのような事実関係だと判断するのか(事実の認定)という問題と,②その事実関係についてどのような過失割合だと評価するのか(事実に対する評価)の問題を区別し整理して考える必要があります。
①裁判官が事故の態様についてどのような事実関係だと判断するのか(事実の認定)については,裁判官は,証拠に基づいて事実関係を判断しますので,適切な証拠を提出しなければなりません。
通常,刑事事件の捜査記録や,ドライブレコーダーの画像,車の損傷・修理に関する証拠など客観性の強い証拠と,当事者の陳述書などの主観性の強い証拠の両方を提出して裁判官を説得していくこととなります。
また,②その事実関係についてどのような過失割合だと評価するのか(事実に対する評価)については,過去に事故態様の類似した裁判例で,他の裁判所の裁判官がどのような評価をしたのかなどを材料に,評価を争っていくことが考えられます。
いずれにしても,裁判所での過失割合の争いは,相当大きな負担のかかる作業となります。
したがって,過失割合について話し合いで解決ができない案件については,弁護士を代理人に立て,当該弁護士に証拠や主張の整理を任せるのが良い方法であるといえます。
近鉄四日市駅から弁護士法人心へのアクセスについて
1 近鉄四日市駅で下車し階段を降りる
近鉄四日市駅で下車した後、お近くの階段を降りてください。

2 南改札口を出る
南改札口を出てください。
改札外左手にCAFÉ CIAO PRESSOが見える方の改札です。

3 西出口の階段へと向かう
マツモトキヨシ近鉄四日市店を右手にまっすぐ進んでください。
左右に階段がありますので、右手にある「西出口」と書かれた階段を降りてください。

4 西出口を出て正面に当事務所が入る建物があります
階段を降り、西出口から出てください。
正面を見ると、STAFF BRIDGEの青い看板が見えます。
そちらの建物の3階に当事務所があります。


5 道なりに進み横断歩道を渡る
タクシー乗り場を右手に道なりに進むと横断歩道がありますので、そちらを渡ってください。

