赤字事業者の休業損害|四日市で『交通事故』に強い弁護士

交通事故被害相談@四日市

赤字事業者の休業損害

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年3月28日

1 利益がない場合の休業損害

赤字事業者については、そもそも事業で利益が出ていないので、交通事故による休業期間中の休業損害が認定されるのかという問題です。

仮に認定するとしても、基礎収入は、事故前年の確定申告書記載の所得額によるのが通例ですが、赤字の場合に何を根拠に用いるのかという問題もあります。

2 認否の前提となる事情と評価方法

事故前から大幅な赤字が発生している場合には、もともとの事業の経済効率・収益性が悪く、経営上大きな問題が存在していると考えられること、休業によってむしろ損失を免れるということになっていること等から、休業損害のすべて、または大部分が否定される可能性があります。

また、事故後、当該傷病の程度に照らして相応の期間が経過しても赤字が拡大し続けている場合は、休業損害が否認ないし減額される可能性があります。

事故後の時間経過によって症状が改善して、事業への影響も少なくなるのが一般的であるところ、逆に損失が拡大し続けるというのは経験則に反し、事故によるもの以外の要因が寄与している可能性が高いというのが主な理由です。

さて、ここまで否定的な事情ばかり述べてきましたが、受傷及び療養のために業務に支障が生じたことによる減収ありとして、赤字事業者の休業損害を認定した裁判例は少なくありません。

一律ではないですが、次にあげるような評価方法を用いています。

ア 事故前の確定申告書記載の所得額と事故後の休業期間を含めた確定申告書記載の所得額を比較し、所得減少額(損失拡大額)のうち、本件事故の受傷による業務への支障と相当因果関係の認められる範囲で、割合分を認定する。

イ 前記アの所得減少額に、休業期間中に事業継続のために支出を余儀なくされた固定費の相当と認められる額を加算する。

ウ 過少申告や帳簿外での高額の収入がある等、確定申告書の作成内容に信用性が乏しい場合、賃金センサスによる平均賃金を参考に、その何割分かを基礎収入として算定する。

3 弁護士にご依頼ください

赤字事業者の休業損害の認定は簡単なことではなく、争うには相応の専門的知識が必要であることから、被害者の方お一人で行うのは困難かと思われます。

交通事故に詳しい弁護士に相談・依頼し、代理人弁護士を通じて交渉するのが望ましいでしょう。

弁護士紹介へ

スタッフ紹介へ